本麻作務衣 葵(ほんあささむえ あおい)

本麻――素材そのものの質感で涼をとる。
麻のざっくりとした着心地とノスタルジックな魅力で、「夏の作務衣といえば麻に限る」というファンの方が増えています。
麻100%ですからシワも出ます。
また、手つむぎの糸を使っていますから生地は完全に均一というわけにはいきません。
しかし、それもこれも手づくりの醍醐味――そこがいいんだよ!という声もたくさんいただいております。
素材名を聞いただけで夏を感じる…そんな盛夏の作務衣です。

本麻作務衣 生成(ほんあささむえ きなり)

暑い夏こそ、お洒落心を発揮する見せ場
時は大正、モボ・ガボの時代。
人々は活気に満ち、お洒落の華が街中にあふれた時代でもあり、彼らにとって暑い夏こそ、お洒落心の見せ所でした。
蓄音機から流れ出る音楽にのり、街を闊歩するお洒落の達人たちがまとっているのは、麻。見栄えも涼しげな麻が織りなす“シワの美学”だったのです。
麻のシワはその人を表す年齢のようなもの
人が年齢を重ね、その顔に刻み込まれるシワのように、麻が創るシワは、まさにその人の生き方を表すもの。
“何でもかんでも、アイロンをかければいいってもんじゃないのさ”
達人たちのそんな言葉に、麻に対する愛着と哲学を感じます。
陽光のもと、落ち着いた色合いが渋さを演出する作務衣です。

本麻作務衣(ほんあささむえ)

ざっくりと麻…触れればざらりと夏の感触。
夏は麻に決めている――というこだわり派や本格的な麻ファンに高い支持を受けている本麻作務衣。少し粗目で硬質な麻の感触が、季節を伝えます。
麻100%を使用。繊維を剥ぎ、糸を紡ぎ、さらに独特のしぼつけを加えます。細かなしぼを付けることで肌との間に空間ができ、涼感がさらに強くなるというわけです。この伝承の技法で、一枚一枚手作りされ誕生したのが、本麻作務衣シリーズです。
麻ならではのシャリ感、微妙にできる味わい深いシワ、しっとりとした色合いをぜひ、お楽しみ下さい。

本麻作務衣 岩清水(ほんあささむえ いわしみず)

まさに“伝統芸術を着る”にふさわしい一着。
この風合いは格別。岩の間から湧き出る清水の飛沫に触れたような涼やかさが、五感をかけ、訪れる静寂に充足の時が流れる。
「本麻作務衣」の二種類のうち、藍色の麻地が涼やかな「岩清水」です。少し粗目で硬質な感じですが、着用感は、いかにも季節を着ているという気分が楽しめるはずです。
本麻ですからシワも出ますが、それもまた味わい。
夏と遊ぶ感覚で、少々ラフに着こなしていただきたいと思います。
素材そのものの質感で涼をとる――この気分の良さは想像以上。さらに、先人たちの知恵が生み出した涼しさへの工夫が加えられたこの「本麻作務衣」で、今年の夏を爽やかにお過ごし下さい。
盛夏涼装――おすすめです。

本麻作務衣 蝉時雨(ほんあささむえ せみしぐれ)

伝承の手作り技法で一枚一枚を丹念に仕上げ。
夕立の後の土の匂いを想わせる麻の感触。純粋なまでの素朴さと、騒きに似たなつかしさがたまらない…。蝉時雨の中、同心に帰り夏と遊びたくなる。
昨日ご紹介した、「苧麻(ちょま)」を素材として使用します。それも、繊維を手で剥ぎ、糸を手で紡ぎ、手織りで仕上げるという、昔から伝承された技法で一枚一枚手づくりします。
これが上布と呼ばれる条件。産地は、全国でも屈指の上布づくりで有名な近江を選びました。
近江上布として織り上がった反物に、さらにもう一味。それが、「しぼつけ」という四百年の伝統を誇る近江独特のしわ加工です。
細かな“しぼ”を付けることで肌との接触面に空気ができ、涼感が一層強くなるというわけ。この「しぼつけ」もまた職人の手で一枚ずつ丹念に施されていきます。
手つむぎから始まり、手織り、手しぼ…人類最古の衣料素材といわれる麻にふさわしい当会のこだわりなのです。
こうして誕生したのが、「本麻作務衣」です。前述のように、手紡ぎの糸を使用していますので、生地は完全に均一というわけにはまいりません。しかし、これが醍醐味。麻100%ならではの味わいなのです。
いわば“シワの美学”を持った逸品にて、他とは差をつけるお洒落をお楽しみ下さい。

夏の装いの代表・麻

熱を発散し、汗を吸う。天然素材の力と魅力。
夏の装いの生地素材として、常に上位に挙がるのが”麻”。
自然の恵みそのままのシャリッとした爽快な肌触り、身体の動きなどに合わせて出来る適度なシワ具合など、その魅力は昔から今に至るまで、実に多くの人々をとりこにしています。
麻は、クワ科の一年草「麻」から製した繊維や織物です。茎の皮から繊維をとり、麻糸が作られます。麻は中央アジア原産で、熱帯から温帯にかけて栽培されています。また、種子からは油がとれるなど、生活に欠かせないものでした。
植物学上では五十種類もあると云われる麻ですが、装いの素材として用いられるのは限られており、「亜麻(あま)」と「苧麻(ちょま)」のみ。
そのうち、夏着尺の最高峰として賞賛される上布(じょうふ)に用いられるのは苧麻の方です。
麻の繊維にはストローのような通気口があり、身体の熱を発散させ、同時に汗を吸い取る動きをします。
さらりとした肌触りを創る天然のこの作用力が、高温多湿な日本の夏の衣料素材として最適ということもあり、麻はこの季節になると様々な意匠となり、人々を愉しませてくれます。
琵琶湖の自然と伝統を織りなす芸術品。七百年の歴史を誇る「近江上布」
「近江上布」の発祥は、鎌倉時代といいます。
琵琶湖を源とする愛知川(えちがわ)の豊かな水と湿度が、この地の麻織物を全国的に有名にしていきました。
特に、苧麻(ちょま)から手で紡いだ上質の糸を平織りにする麻織物――すなわち「上布(じょうふ)」の産地としては、現在でも越後や宮古などと並び五本の指に入ると云われています。
「上布」とは、麻を使った上等な平織りの生地のこと。いにしえから、上質な麻を使った素材は重宝され、高級素材の代名詞でもあり、太古の時代には生地のグレードで「上布~中布~下布」と大別されていました。
また、織り上がった反物に、職人の手によってしわ付け加工をする「しぼつけ」技法は、全国に名を馳せています。

雨がすり 麻絹作務衣

麻と絹の、ちょっと珍しい作務衣。
他ではまずお目にかかれないこの雨がすり。
素朴で少し粗い手触りを持つ麻素材と、優雅な光沢とサラリとした手触りで人気の絹素材を7対3の割合で仕上げた、ちょっと珍しい作務衣です。
いかにも春から夏にかけて着るにふさわしい素材組み合わせ。芥子色に、絣模様が、そぼ降る春の雨を想わせます。

麻混作務衣 藍白(あさこんさむえ あいじろ)

色、素材、形のすべてが涼しさを感じるものばかり。
湿気が多く暑苦しいといわれる日本の夏ですが、逆にこの季節を快適に過ごし、むしろ大いに楽しんでしまおうと考えた先人たちの知恵や工夫が現代にもさまざまなかたちで受け継がれています。
例えば夏の装い。
涼しさを感じる色は“白”か“明るい藍色”が双璧。素材は圧倒的に“麻”と“綿”。そして形は“ゆったり”と“少し崩して着る”――これが夏を快適に過ごすためのポイント。
つまり、このポイントを抑えた装いなら、たとえ実際の湿度や気温が高くても涼し気にさわやかに過ごすことができるということ。
確かに身のまわりの夏の服を見てみると何らかの形でこのポイントが生かされていることに気付きます。
縦糸は淡い藍染の綿、横糸は生成の麻
「藍白」は、これらのポイントをすべて備えています。
素材は麻と綿がそれぞれ50%ずつ。縦糸は淡い藍染の綿。横糸は生成の麻――これを交えて織り上げ、いかにも涼しげな<藍白>という彩りで仕上げています。
藍白とは、藍染工程の最も初期段階で得られるごく薄い藍染の色で、白に少し藍をかけて白さを押さえるという意味から“白殺し”というユーモラスな呼び方もあります。今でいう、オフ・ホワイトというわけです。
仕立てはゆったりとした作務衣仕立て。注目は両袖にしつらえた白いかがり糸。風通しの良さという機能面はもちろんですが、見た目にも涼感があり、さらにいかにも夏の装いらしい粋な情緒が楽しめます。
日本の夏の風情にしっくり溶け込み、新しささえ感じるこの作務衣。暑さを遊ぶような気持で…いかがでしょうか。

秋葉ちぢみ作務衣

受け継がれてきた伝統の技と、最先端の技術との出会いが昇華した、新たなる「ちぢみ」の息吹。
“ちぢみ”の新たなる作品を、15周年記念として創ろう――。
その課題のもとスタッフが東奔西走、ようやく巡り合えたのが、越後は板尾の名匠、島昇さんが手がける「秋葉ちぢみ」でした。
高温多湿な日本の夏を快適に過ごすため、先人たちの知恵が生み出したのがこの「ちぢみ」。肌との接触面を少なくすることで、涼感を得ることのできる技法です。
生まれた作品は、当会のちぢみの作務衣の新境地を拓いたとも云うべき会心の作。意匠、品質、価格ともに、堂々と自負できる一着と相成りました。