樹木染め 天竜杉染め(4)

樹皮模様に織り込んだ杉の葉のイメージ!
仕上がりは、あたかも樹の皮を想わせる模様に織り上がりました。さらに目をこらしていただくと、緑が細かく混じっていることに気づかされるはず。杉の葉のイメージを織り込んでみました。ヨコ糸に何本に一本という計算で緑の糸を飛び込ませたのです。
つまり、この樹木染作務衣は、一本の杉の木のすべてをトータルに表現しているのです。
恒例となったモニターによる試着会の場で、モニターの一人が「森林浴の匂いがする!」と言い出しました。匂い付けなど全くしていないのに…。これは、目が感じた樹木の香りだったのです。
それほどに、この作務衣は、樹皮の再現がなされているということ。私どもの自信はさらに深くなったことは申すまでもありません。
樹の皮で染める――このこと自体が画期的な上に、あたかも香り立つが如き、樹木の表情の再現。大汗をかきながら杉の皮を煮詰めた職人も、あたかもキャンバスに絵を描くように樹木を表現した織り職人も、この作品の完成には大満足の様子。
「樹ならヤマとあるからな…」との励ましの言葉を背に、この樹木染作務衣「天竜」を、世に問います。

樹木染め 天竜杉染め(3)

煮出した染液に何回も漬け込んだ上に…
杉丸太の樹皮が、一枚一枚手によって剥がされていきます。そして、この樹皮をさらに細かく刻んでいき、刻まれた皮を布袋に入れて煮詰めます。すべて手作業、屋外にて豪快にグツグツと煮詰め、杉皮の液を煮出すのです。この液を絹の布でこして染液の完成です。
この染液に綿糸を幾度となく漬け込んで染めるわけですが、色付けや色落ち防止のための特殊な媒染がなされ、樹木染めの糸が完成します。
この糸を使い、いかに織り上げるか。
作品の真価は次の織り工程にかかっています。樹皮で染めた糸でタテ、ヨコ織ったとしても、それはただ茶色がかった平板な布地にしかなりません。
緻密な計算と芸術的な感覚により、まさに樹皮を着るが如き作務衣に仕上げなければならないのです。

樹木染め 天竜杉染め(2)

樹の皮で染める――自然を纏う感覚が五体を走る。万葉百彩の旅、天竜へ。
藍の葉に始まり、草や花、そしてお茶の葉まで歩を進めた「伝統芸術を着る会」のライフワーク、万葉百彩の旅。
まだ、染めるべき素材は身近にありながら、天の声に導かれるように静岡県天竜市へ飛びました。その目的は、この地にて行われている樹木染めへの興味でした。
天竜は、奈良の吉野、三重の尾鷲と並び日本三大美林のひとつに挙げられるほど。特に、当地の杉林は昔から有名なところです。
県や市をあげて研究、開発した樹木染め!
この地において、静岡県科学技術振興財団が実施している“天竜杉染め”の評判は、以前から当会にも届いていましたが、時期尚早との考えで私どもも二の足を踏んでいたのです。
ところが、いちばん新しく送られてきた試作品を見てびっくり。飛躍的に高まった品質に当会の開発計画は一気に樹木染めへと進んだのです。
天竜へ来て、その成功の秘密が理解できました。それは、染色素材である杉が豊富なため、色のバラつきが少なく、色目の統一や安定が可能なこと。さらに産・学・官の共同研究により、繊維に染まりにくいという杉の欠点を、特殊な媒染剤により克服していることに尽きます。この媒染の方法は、俗にいう企業秘密。公開はできません。なにせ、長い期間にわたる試行錯誤の結果に得たノウハウですので、その点はご了承下さい。
工程は、まず杉の木の伐採から始まります。色目を統一して木を選び、丸太にしていくのです。

樹木染め 天竜杉染め(1)

樹木への想い――
その陽なたで本を読んだ。
昼寝もした。
旅人はひとときの涼をとった。
木登りは少年を男にした。
少女は花飾りを編んだ。
ざわめく葉音に畏怖を感じた。
幹に名前を刻んだ。
爺さまは毎日拝んでいた。
昆虫や虫たちの宿屋だった。
風や雨や雪を許していた。
矢や弾丸がかすめたこともあった。
広く根をはり、びくともせず、歴史を見ていた。
愛しながら、敬いながら、人はそのふところに抱かれた。
その時代ごとに――樹木はオヤジだった。
樹木のある暮らし…それは誰もが望む自然回帰への本能です。
樹齢何百年という大樹を目の前にした時、私たちはとても懐かしい想いがします。同時に、なぜか身のすくむような感じもあわせ持つものです。海がヒトの胎内なら、森はヒトの父親だった――そんな気分におちいります。
ヒトと樹木の付き合いは、ヒトの歴史を物語ります。樹木が与えてくれる恩恵は、精神的なもの物理的なものを合わせると、それこそ計り知れないものがあります。
こんな樹木への思いを込めて、特集テーマは“ウッディ・ライフ”、つまり“樹木のある暮らし”です。
といっても、当会のテリトリーから考えても大層なことはご提案できるわけがありません。しかし、せめて「樹木への想い」をできるだけ形にしたいと思いました。
万葉百彩シリーズの一環として、今回は「樹木染め」。そうです、樹木による染め技法を皆さまにご披露したいというわけです。
心や目で感じる樹木の香り、樹木をまとう感覚から生じる自然回帰。新しい世界の広がりを、ぜひお試し下さい。

オールドデニム作務衣

先染めによるグリーンブルーとブラウンの2色にて織り上げた、個性的な生地を用いた待望のデニムの新作です。
ご覧のように、全体的に適度なグラデーションが生まれ、単色では決して表現できない奥深さを生み出しています。
“新しいのに、どこか懐かしい”、じっくりと時間をかけて味わいたいデニムです。

デニム作務衣 生成(きなり)

袖を通すだけで行動的になれる、10歳は若返るような気がする…と、特にこの季節になると一段と人気が高まるデニム作務衣。そのご要望に後押しされるように新作の開発に勤しみ、このたびようやくデニムの季節に間に合いました。何枚も揃えられるよう、もっと多彩なデニムの彩りが欲しい…という皆様のご意見にお応えしました。
今回の新作では目にも爽やかな生成を採用。パッと見にはデニムに見えず、分かる方だけが分かる…という通ならではの以心伝心が楽しめるのもミソ。
着る方の顔色も明るく見せますから、ますます若返る…そんな効果も得られる、着て楽しい、嬉しい一着です。

刺子調デニム作務衣(さしこちょうでにむさむえ)

洋の素材で和の表情を出したデニムの新作登場!
試作品をショールームにて展示したところ、デニムに対して目の肥えている外国人の方々から、洋にはない和の深い趣を感じる“ジャパン・デニム”との称号をいただきました。
若々しさの中にもこの奥深さ、和の趣をたたえた、こだわりの一着。デニムの本場を唸らせたジャパン・デニムで、この冬をより愉しくお過ごし下さい。

デニム作務衣 生成(きなり)

袖を通すだけで行動的になれる、10歳は若返るような気がする…と、特にこの季節になると一段と人気が高まるデニム作務衣。そのご要望に後押しされるように新作の開発に勤しみ、このたびようやくデニムの季節に間に合いました。何枚も揃えられるよう、もっと多彩なデニムの彩りが欲しい…という皆様のご意見にお応えしました。
今回の新作では目にも爽やかな生成を採用。パッと見にはデニムに見えず、分かる方だけが分かる…という通ならではの以心伝心が楽しめるのもミソ。
着る方の顔色も明るく見せますから、ますます若返る…そんな効果も得られる、着て楽しい、嬉しい一着です。

インディゴブラウンデニム作務衣

大ヒットを記録し続けるデニム作務衣シリーズに、またひとつ、私どもの創造と挑戦の歴史を染め抜くに相応しい、新たな彩りが生まれました。
その名はブラウン。いい響きです。自然回帰を提唱する時代の象徴として、様々な業界で今、俄然注目され、アースカラー(地球色)と呼ばれるほどの大らかな包容力に満ちた彩りです。
その魅力的な色を、インディゴブルーで染めたデニムにさらに施すという手間のかかる二度染めを用いることにより、単色では決してかもし出すことのできない微妙な奥深さを実現しました。
屋外にて鑑賞すると、光によってその彩りが見せる幾つもの微妙な変化の妙が楽しめます。

インディゴブラックデニム作務衣

満を持して黒のデニムに初挑戦、二度染めの彩りが微妙な加減をかもし出す…
まずインディゴブルーで、さらにブラックで染め上げるという二度染めを用いた新作は、一着ずつ、ブラックの仕上がりが微妙に違います。ですから手に入れた方のそれは、世界でひとつの味わいを持つ貴重な品。
また、活動的なデニムにふさわしく、ひとたび陽光のもとに出れば、光加減でブルーや濃紺に見えるという彩りの変化と妙を楽しむことができます。
もちろん丸洗いもOKですから、洗うたびに適度に色落ちし、そのつど新しい彩りが楽しめるのもデニムならでは。
静と動が調和した自信の一着です。