紳士 和装コート(しんし わそうこーと)

冬をお洒落に暖かく、お出かけ姿が一味違う。
作務衣に羽織るも良し、着物に重ねるも良し、びしっと決めて、もう一人のあなたを演出するこの「和装コート」が着実な人気を博しています。
特に、お正月は和服をお召しになる方が多いせいか、冬号には欠かせない一着。
このコートを着用することにより、和服ならではの様式美が決まってきます。

正藍染インバネス 浪漫(しょうあいぞめいんばねす ろまん)

素材は、非常に高価で手に入りにくい剣道袴の最高級生地を仕様。色は、これまた武州が誇る正藍染と徹底的にこだわってみました。
写真でごらんになると、ちょっと重たさを感じられるかもしれませんが、実際に着用なさるとその軽さに驚かれるでしょう。また、袖がありませんので、実にラクに着られ、動きも自由自在。外套であることを忘れられてしまうほどです。
私どもでは、完成した作務衣はいずれも発表前にさまざまな層の方に実際に着ていただき、ご意見を賜っておりますが、このインバネスの試着は大変な反響を呼びました。
「懐かしいなぁ…」という声。「映画の主人公になったみたい」とか「かっこいい!」という声など、とにかく大評判。その場でゆずって欲しいとの声が続出したくらいです。
ご好評は嬉しいのですが、前述のように、形・素材・染めに徹底的にこだわり、縫製職人に音を上げさせたほどの労作。それ故に、残念ながら限定数での販売とさせていただきます。
どんな装いにもなぜかピタリと決まる!
作務衣の上にはもちろんですが、各写真のように、どんなお召し物にもなぜかピタリと決まってしまうのも、このインバネスの特徴。ですから年齢も問いません。
この冬、佳き時代の香りをいっぱいに、行き交う人たちの驚きの表情を存分に楽しんで闊歩してください。気分はもう、浪漫舞台の主人公――。
いま、古色蒼然が新しい。佳き時代の香りを秘めて、冬の冷気を蹴散らし歩く。気分は文士か、はたまた…まさに快感の一着。

インバネスについて

懐かしさに拍手、その新鮮さに歓声!試作段階から話題騒然――あの幻の外套<インバネス>が蘇りました。
いつものように開発会議。その日のテーマは「冬、作務衣の上にはおるコート」でした。
普通の和装コートでは知恵がない。では、どうする?座が静まり返った時、“長老”と呼ばれている一人が沈黙を破りました。
「インバネスはどうだろう?」
聞き慣れぬ言葉に百科辞典がめくられます。そして、そこに現れた左のような絵にスタッフ全員の目が吸い寄せられていったのです。
スコットランドで生まれ、欧米を席巻した外套(コート)
インバネスとは、19世紀中ごろ欧米で盛んに着用された外套のことで、スコットランドのネス川河口の町インバネスを発祥の地とするため、こう呼ばれるようになりました。
たけが長く、袖なしで取り外しのできるケープが身ごろについてきます。
日本でも、明治20年ごろに伝わり、大正、昭和の初期まで「とんび」あるいは「二重まわし」などと呼ばれ愛用されていました。現在では、その姿はまったく見ることができず、現存すら危ぶまれていました。
その軽さにビックリ、動きも自由自在!
しかし、この幻となった外套の復元には、その原型が何としても不可欠。四方八方に手を尽くしてやっと一着のインバネスを横浜のテーラー経由でお借りすることができました。
この貴重なインバネスを手本として、それを越えるレベルで復元したのが、ここにご紹介する「正藍染インバネス」なのです。

本藍染刺子織作務衣 彩雲と羽織(ほんあいぞめさしこおりさむえ さいうんとはおり)

匠の技を着る。藍の空を彩る積雲の如き自由な意匠。
お待たせしました。八代目の新作のお披露目です。
伝統的な本藍染にしっくりと馴染んだグラデーション部分の切り替えしが、実にいい。まさに「彩雲」の名のごとく、藍色の空に優雅な彩りを描く雲のように、のびのびとした自由な雰囲気を醸し出しています。
織りは独特の凹凸が微妙な味わいを奏で、丈夫でコシの強い生地を生み出す刺子織。ですが、これがまた、八代目ならではの探究心とこだわりが活きているのです。
「彩雲」は大小の刺子を綿密な計算によって組み合わせており、伝統的な礎の中に施された、新鮮な色の配列や意匠は、見事な仕事と舌を巻くばかり。その味わいをより引き立てるために、ズボンはビシッと一色の刺し模様におさえました。
「これなら人前に出しても申し分ないだろう」という七代目のお墨付き。着て行く先々で満座の注目を集めること間違いなしの逸品です。

本藍染刺子織作務衣 彩雲開発話

春眠暁を覚えず。かといって伝統芸術を着る会といたしましてはうたた寝している訳にはまいりません。新しい命が芽生える春を前に新作をと、スタッフ一同ねじり鉢巻で昨年より知恵を絞っていたところへ、嬉しいニュースが飛び込んできました。
一報の主は会員の方々にはおなじみの辻村染色七代目当主、辻村辰利さん。作務衣の専門館と呼ばれる当会の数ある作務衣の中でも名作との誉れ高い、あの刺子織作務衣「唐法師」を手がけた、当会きっての名匠です。
「息子が個展を開くことになってね。なかなかいいモノができてるんだ。ぜひ、見に来てよ」
息子さんとは八代目、辻村啓介さんのこと。七代目のもとで十二年、藍染修行を積み、襲名後は茶葉染作務衣を始め、独自の染や織りに挑んだ新しい感性の作務衣を創り、大好評を博している事はご存知の通り。
独自の道を切り開いてきた八代目の個展、しかもめったに息子を褒めない七代目のたっての誘い。これは!と弾む胸を抑えつつ駆けつけたのですが、作品を前にして、ときめきは高鳴るばかり。
どの作品も、伝統的な礎は残しつつ、若い斬新な感覚が盛り込まれており、特に意匠の面では僭越ながら七代目を超えたのではないかという声もチラホラ。会場を訪れた、染や織りに興味のある方々、和装のプロからも高い評価を得ていたのです。
早速、この意匠を活かした作務衣創りを八代目にお願いしたところ快諾を得て、ついに刺子織と藍染の魅力を存分に堪能できる5年振りの新作「本藍染刺子織作務衣・彩雲」が誕生しました。

正絹黒刺子4点セット・正絹黒刺子袴(しょうけんくろざしこよんてんせっと・しょうけんくろざしこはかま)

初春の光の中に、袴姿で立つ。日本男児の誇りが五体を走る。
黒刺子作務衣を愛用なさっている岩田さんから、「黒刺子で袴を作ってもらえないだろうか。この生地の腰、手応えのある質感、貫禄のある風合い…どれをとっても袴の素材にぴったり。ぜひとも…」というお話を戴きました。
なるほど、とさっそく試作にとりかかり、出来上がった黒刺子の袴にスタッフ一同惚れ惚れしてしまいました。
岩田さんのおっしゃる通り、袴に仕立てた時の堂々たる風格は、黒刺子の魅力が一段と増して感じられるよう…羽織を合わせればなおさらです。岩田さんを始め、会員の皆様の感性、センスには、教えられることばかりです。
さっそく、黒刺子を作務衣と袴の両方でお楽しみ頂けるようセットを作りました。
なお、袴はお手持ちの作務衣の上着を組み合わせても、そのままお使い頂けるよう独自に工夫をしております。袴だけでもお求め頂けますので、すでに黒刺子作務衣をお持ちの方はもちろん、このお正月に袴をという方にもおすすめします。

正絹刺子織作務衣 紫紺と羽織(しょうけんさしこおりさむえ しこんとはおり)

最高の「染」だから最高の素材と織で仕上げました。
最高の草木染を施すのだから、素材も織も高級のもので、紫紺染の魅力を余すところなく表現したい…。そう考えると素材はいうまでもなく「正絹」。そして織は、やはり「刺子織」になりました。
鮮やかな絹に浮かび上がる紫紺色。杜若(かきつばた)の花の色にも似た濃艶な赤みの紫が、刺子織により、さらに味わい深い光の表情を生み、まさに極上の布地に仕上がりました。
当然完成した作務衣は、「伝統芸術を着る会」の名にふさわしい、まさに珠玉の逸品となりました。写真をご覧頂くだけでも、袖を通す時のひんやりとした絹の感触、滑らかな肌触り、そして、この作務衣を纏う凛としたご自分の姿がきっとご想像いただけることと思います。
幻といわれた伝統の「紫紺染」を当会の心意気と技術で蘇らせた「正絹刺子織作務衣・紫紺」、この素晴らしさを是非、ご堪能下さい。
お手持ちの羽織では合わせきれません。やはり共布・同色でどうぞ。
絹刺子という特徴を持つ作務衣ですと、やはり、お手持ちの羽織では合わせきれません。共布・同色による羽織をぜひご着用下さい。

幻の紫紺染(しこんぞめ)に挑む。

粋を極めた江戸紫…究極の草木染、遂に完成。選ばれたものだけが、纏うことを許された高貴な色。
当会ではここ数年、コーデュロイ作務衣に始まり、ジュンロン・スエードなど、新しい素材を用いた新作を次々に発表、作務衣の新たな可能性に挑戦してきましたが、やはり「伝統芸術を着る会」としましては、失われつつある古き佳きものに光を当て、現代に蘇らせるのが本領。
それを忘れていたわけではありません。その難しさから幻とまでいわれた究極の草木染「紫紺染」に挑み、密かに研究を重ねていたのです。
試行錯誤の末、この度遂に「紫紺染」による最も高貴な色「江戸紫」と呼ばれる深い紫の再現に成功いたしました。
「草木染」というと、渋い落ち着いた色という概念がありますが、草木染しかなかった平安時代でも、文献によりますと高貴な方の衣服に鮮やかな色のものが多く、金銭・労力をおしまず工夫すれば、鮮やかな草木染も可能だったということになります。
その代表的名ものがこの「紫紺染」なのです。
最も困難で最も高貴な「紫紺染」
紫紺は山野に自生する多年草、紫草の根で、植物染料での染色中最も難しいものとされています。
紫紺染の紫はシニコンという色素によるものですが、シニコンは冷水にほとんど溶けず、他の植物染料のように煮出すと緑黒色に分解してしまいます。
ですからまず石臼で挽き、摂氏60度以下の温湯で時間をかけて抽出しなければなりません。これに灰汁で処理した布を浸染し、繰り返し染めていきます。
また紫紺は、絹でなければ発色が悪く、綿ではその色が十分に出ないという特徴があります。
いくら良い色も染まっても、染色工程が複雑で手間がかかり、しかも絹でなければ鮮やかに色が出ないとなれば、一般の庶民がその色を手にできるはずもなく、聖徳太子の時代から冠位十二階で定められているように、紫紺染の紫が最も高貴な色とされてきたわけです。
また、伊勢皇大神宮の幕、宮中の儀式殿・斎殿の幕もこの紫紺染によるものです。

綿刺子織作務衣(めんさしこおりさむえ)

発表と同時に大評判となった「正絹刺子織作務衣」。
この通称“絹ざしこ”の圧倒的な質感や存在感を「綿素材」で再現してもらえないだろうか…といった声が続々と寄せられています。
ただ、“絹ざしこ”が現実に人気商品として稼動しているのにいかがなものか――当会としても頭の痛いところでした。
しかし、限定品ならどうだろう。会員さんの要望でもあるし…との声もあり、特別に期間限定品として登場させていただくことになりました。
「正絹絹刺子織作務衣」と同様に、織りは同じ太さの糸で凹凸を付ける「崩し織刺子」という伝統の技法。柄も同じく小鹿の毛並み(斑点)を模した「鹿の子模様」。素材だけが上質の綿に変わります。
出来栄えはご覧の通り、質感のすばらしさは変わることがありません。

正絹刺子織作務衣 黒刺子と羽織(しょうけんさしこおりさむえ くろざしことはおり)

着て誇らしく、人に見せたくなる一着。圧倒的な質感を持つ絹と刺子の組み合わせです。
皓々と照る月の輝き、歳月のつみ重ねが生み出す表情――。
「きぬ」と「さしこ」が個性を主張しながら、それぞれの良さを引き立たせている。響きも清冽な「きぬざしこ」。
シリーズ新作、二年越しの登場。これほどの一着があると、誰かに逢いたくなる。話したくなる。一献かたむけたくなる…秋の夜長が有難い。想いは、満ちて望月。
知人、友人、大切な人を客人として迎える時。また客として人を訪ねる時――この作務衣なら文句はないでしょう。人への想いを着るもので表す、こんな最上級の表現ができたらとても素敵だと思います。
一枚の作務衣が、人と人のコミュニケーションのかけ橋になる…こんな当会の夢が、いま着実に実現に向かって歩を進めています。