カルサラ楊柳作務衣 光雲(かるさらようりゅうさむえ こううん)(2)

2色の糸を自在に用いた微細の彩りにもご注目
もちろん“作務衣元年”にあたり、新しい作品に対する様々な挑戦も忘れてはおりません。もっと何かいいモノがあるに違いないとの向上心のもと、新素材や織を追及。その過程で「カルサラ」という優れた新素材と出会い、採用に至りました。その特徴としては、

  • 2色の細い糸と太い糸を不規則に組み合わせて織り上げることにより伸縮性を高め、微細な空隙が増幅。そこから肩の凝らない軽さと、肌にサラッと心地良い爽やかな風合いが生まれます。
  • 同時に艶消しを基調とする渋さと格調の同居した、微妙な黒とグレーの渋い彩りを実現しています。

質感、着心地、彩り、どれをとっても春爛漫、そしてその先の季節に最適の一着と相成りました。

カルサラ楊柳作務衣 光雲(かるさらようりゅうさむえ こううん)(1)

質・織・彩り…随所に格段の進化あり。軽くて爽やか、素朴な彩り。凛々しさは若竹、優しさは柳の如く。その悦は、まとうごとに深くなる。
時節は春爛漫。ゴールデンウィークも目前に控え、いよいよ、行楽シーズン、旅行シーズンの季節が到来です。
この頃になると「早く楊柳の新作が欲しい」とおっしゃる方がグンと増えるのは、楊柳ならではの多彩な利点と魅力があるからです。
楊柳とは、張り戻し加工を施すことにより捩れ性を持った糸で織り上げた、いわば縮みのような生地のこと。優れた通気性と軽やかな質感を持ち、生地と肌との接触面が少ないため、汗の季節においても爽やかな着心地が楽しめる、まさに春夏向けの織り。
折り畳んでもシワにならないため、旅行バッグにも気遣い無用で収められますし、ひと汗かいたら、ジャブジャブと丸洗いもOKと機能性も豊か。
しなやかで柔らかな印象と存在感は、着る方の格調も自然に高めてくれます。

「カルサラ楊柳作務衣 光雲」開発秘話

作務衣ブームは、癒しを求める世相の流れ
いま、作務衣が静かながらも確かなブームを呼んでいます。ご承知の如く、如何せん心すさむ世相。人々は物欲ではなく、“心身を癒してくれる何か”を求めているのが実情です。
それは直接素肌を覆う装いにも及ぶことは必定。
「心の書斎」と呼ばれ、着るだけで心身を大らかに解放してくれる作務衣が人々を魅了しているのは、その素朴な着心地や意匠はもとより、忘れかけていた寛ぎを呼び戻し、新しい自分、そして新しい暮らしの慶びを発見させてくれる精神性があるからなのです。
その人気を単純に“ブーム”と呼ぶと、何やら軽々しい気がしますが、当会が16年目へと踏み出そうとしている今を考えると、その符号には何やら因縁めいたものを感じる気がします。
いわばこれは作務衣の精神性を尊び、その普及に努め、人々に慶びを広めるという、当会の初心へ還ること。おごることなく己を律すること。“作務衣のある暮らし”の提唱を再確認せよと、作務衣が私どもに伝えているような気がするのです。
“初心忘れるべからず”。だからこそ私どもは、この新年度より「作務衣元年」というテーマを掲げ、基本を鑑みながらも、これまで当会を支えてくださり、叱咤激励、鼓舞してくださった作務衣同好の士の方々へ、より新しい慶びをお送りすることに誠心誠意尽力することを誓ったのです。
その顕著な表れが、16年目初の新作、「カルサラ楊柳作務衣 光雲」なのです。

緑茶染刺子織作務衣 牧ノ原(りょくちゃぞめさしこおりさむえ まきのはら)

人気の刺子織を茶染めで着る。
染めは、日本一の茶所で名を馳せる牧の原にて手に入れた良質のお茶にての茶染めにて、織りは人気の刺子織。自然の緑茶が生み出す数々の素晴らしい効能もあいまって、注文殺到の好評ぶりも頷けます。
素朴な刺子と美しい緑茶の彩りとの出会いが、初夏のまばゆい陽光の光加減や、身体の動きなどに連れて微細に変化し、惚れ惚れするほどの豊かな表情をかもし出します。
着る森林浴の魅力をぜひお試し下さい。

野蚕作務衣(2) (のがいごぞめさむえ)

悠久の伝統技法で生まれ変わった野蚕絹!
待つこと半年、遂に完成した野蚕絹の作務衣が送られてきました。冒頭の一声はまさにスタッフ全員の心境でした。
野蚕ならではの陽光を思わせる光沢、不均等な凹凸から生まれる野趣に富んだ質感、そして、ハイライトはその染め上がりでした。不均等で染まりにくい難点である着色格差逆に生かした奥行きのある味わい深い彩りは、お見事の一語。中国の職人恐るべし――という実感です。
これも絹、そしてこれこそ絹――このような言い方が適切かと思われます。ただ、野蚕絹は希少品、今回は現地への直接依頼のおかげでやっと270着を確保することが出来ました。品切れの際は、ご容赦ください。

野蚕作務衣(1) (のがいごぞめさむえ)

染めにくく、不均等、野生児のような原糸…
“ホントにこれ、野蚕の絹で作ったの?!”――完成した作務衣を前に立ち尽くすスタッフの沈黙を破った一言がこれでした。
実は、野蚕絹で作務衣づくりを目指した計画は、その糸を手にした時点で大きな壁にぶつかったのです。この野蚕の糸は、家蚕のそれに比べ、偏平で太く、不均等で凹凸があり、しかも色は白に非ず……とまさに野生そのもの。
もちろん、そのことは承知の上だったんですが、この野蚕糸の持つインパクトは想像以上のものがありました。実際問題として、まず家蚕糸しか扱わない日本の現場では、野蚕の糸を織ったり染めたりは困難とされていたからです。
そこで決断。当会としては初めて海外に作務衣づくりを依頼することとしました。何千年もの昔から、野蚕絹を織って染めている中国には、それにふさわしい伝承の技法があるはず、そして、それを成している名うての職人が居るはずです。
当会が目指す作務衣の形式、風合い、色合いなどの細かい指示が中国は遼寧省丹東市に届けられました。

綿シルク作務衣 柿渋濃淡(めんしるくさむえ かきしぶのうたん)

柿渋に10~12色の染めを加えた京都・西陣の逸品。
毎回、到着を心待ちにする京都の新作。この春は柿渋の<綿シルク>です。
ヨコ糸に上質シルクの紬糸。タテ糸に綿糸。綿糸は青柿から絞り発行させ二年ほどねかせた柿渋汁一色の染め。絹糸の方は濃、中、薄と3つに分けてそれぞれに3~4色、計10~12色の染めを加えて何段階にも濃淡を付けています。
柿渋以外の草木染の種類は残念ながら企業秘密とのことで、当会もそれを知ることはかないません。これだけ色を使うと、普通ならベタッとして品の無いものになるのですが、さすがに京都。ユニークでありながらとても上品に仕上がっています。
当会の10周年ということで、京都。西陣の職人さんも頑張ってくれたとか。技術がなければ成しえない柿渋濃淡。さあ、お目見えです。

春刺子作務衣(はるさしこさむえ)

春風に誘われて、うらら。
窓を開けると柔らかな風が撫でるように通り抜けてゆく。この風に誘われて外に出る。春ならではの官能的な匂いがする。すべての境界線を取り払ったみたいなぼかし絵の世界に溶け込んでゆく。こんな迷宮に身をゆだね、春うらら…。
こんな気分のときに身を包む作務衣は、少し素朴な感じのするものがいい。野趣に富み、そのくせ柔らかさを持ち、季節に合わせた彩りがあれば、とてもいい。
素朴で柔らかい春の肌ざわり…。春を意識した<さしこ>はいかがでしょうか。

“心の書斎”と呼ばれる作務衣の魅力を問う(1)

優れた和の装いを生んだ先人の知恵に脱帽
作務衣とは、古来より僧侶たちが作務(さむ:雑念をなくすための労働一般のことを言い、大切な修行とされている)を行うために着用したものです。
四季を通じて厳しい修行をする際に着ることを前提で考えられたものだけに、その着やすさ、動きやすさ、丈夫さは格別。はるか昔にこんな機能性を生み出した先人の知恵や工夫にはただ感服させられるばかりです。
機能性に加え、高い精神力が作務衣の魅力
その“古き佳き装い”である作務衣を復刻し、次代へと送り継ぎたいという趣旨で発足したのが『伝統芸術を着る会』ですが、作務衣を主題として取り上げたのには、この装いの持つ高い精神力に魅かれたからだと言います。
袖を通すだけで背筋がピンと伸びる感覚、仕事や世間のわずらわしさから解放され心が洗い流されてゆくような気分。まさに“心の書斎”と呼ぶに相応しい優れた装いだというのが理由。
さらに、この精神性の高さに加えて、優れた機能性と合理性。しかも、着るだけで「渋さ」と「粋」を演出できる見栄えの良さを併せ持った装いは、確かにちょっと他に類を見ないものです。

ブラックジーンズ作務衣

洗い晒しのような渋い風合いの一着。
若い人たちが着ているようなジーンズとは一線を画します。大人には大人のジーンズを…。その思いで作り上げた「ジーンズ作務衣」。彩りが違います。風合いが違います。渋い色合いの魅力がたまりません。この早春、粋な大人がグンと増えるに違いない。
“ジーンズは好きだが、若者が着ているようなものは気恥ずかしい…。”新作の開発に当たっては、そんな会員の方々の声がまず始めにありました。
確かに、大人には大人のためのジーンズがあってしかるべき。年輪を重ねた人が着るほどに、渋い輝きを増す一着があっていいはず。その想いが、今回のような奥深い、風合い豊かな仕上がりにつながったのです。
ご覧のようにありきたりのジーンズではありません。大人の彩りを目指して、生地は13オンスの黒を採用。そしてその生地にて製品に一旦仕立てて、それをほどよい風合いがかもし出るように洗いをかけたのです。実はその兼ね合いが難しかったのですが…。
何度も試作を重ね、これで良し!となった作品は、単なるブラックの彩りではない、まるで洗い晒しのような味わい深い仕上がりとなりました。この一着にて、渋く、粋な大人の魅力を振りまいて下さい。