袖付きの羽織を合わせると、さらにお正月気分が…
<寿シリーズ>の作務衣に合わせて開発された「袖付羽織」。俗に言うところの”長ばおり”が喜ばれています。
作務衣の上からはおるだけで、いかにもお正月といった雰囲気が漂います。
素材は絹100%。裏地はポリエステル。すべりがよく、中の作務衣とからみ合うこともありません。
正絹総裏付作務衣 紫寿(しょうけんそううらつきさむえ しじゅ)
お正月用の作務衣<寿シリーズ>平成九年の新作は渋い”紫”で参ります。
作務衣で迎えるお正月――という私ども伝統芸術を着る会からのご提案は、愛好家の皆さまの間ですっかり定着したようです。
そればかりか、作務衣に興味を持ちながらまだ袖を通したことがなかった方や、”正月くらい和風で過したい。しかし着物じゃちょっときゅうくつ――”という方たちにとっても、このお正月は、作務衣初体験のいいきっかけになっているようです。
特に、この傾向に応じて4年前からスタートした<寿シリーズ>が大好評。毎年、その年の新しい彩りを、俗に言う”正月おろし”でお召しになる方が急増しています。
子の年から丑の年へ――縁起も込めた彩りの誕生!
さて平成九年、寿シリーズの彩りは?これが結構もめました。
常盤の松をイメージした「緑寿」、日本の国色を採り入れた「藍寿」から始まり、「銀寿」「墨寿」と続いたこの寿シリーズ。これを受ける目出たい彩りは、色の格からいっても、”金”か”紫”ということになります。
しかし、さすがゴールドの色の作務衣となると当会としても腰がひけます。ならば紫、ということになったのですが、これもストレートな紫色では派手すぎる……との声が多く頭を抱え込んでしまいました。
その時、『ネズミ年からウシ年へのバトンタッチだからネズミムラサキってどうでしょう』と若いスタッフからひと言。
ねずみ紫?! なるほど、いい感じ。スタッフ全員の顔がほころびました。
十二支の受け継ぎで縁起もいいじゃないか、という事で、ちょっと渋めにねずみがかった紫色に決定。名称はシリーズの慣例通りに「紫寿」と名乗ります。
もちろん素材は正絹100パーセント。上下ともに軽くて暖かい綿起毛を裏地として付けています。晴れやかな元旦の朝、絹の輝きに包まれて主の登場――ここは一発、格調高くキメていただきましょう。
正絹総裏付作務衣 墨寿(しょうけんそううらつきさむえ ぼくじゅ)
正月用に開発された<寿シリーズ>が大好評!
当会では、3年前からお正月用の作務衣として<寿シリーズ>を開発、毎年新しい作品を正月特集号にて発表させていただいております。「緑寿」「藍寿」を皮切りに、昨年は「銀寿」を発表。
前述のように10年前より一貫してご提案を続けてきたことも手伝ってか、このお正月用作務衣が大変なご好評。毎年、新しい彩りを、俗に言うところの“正月おろし”でお召しになる方が急増しています。
今年もすでに沢山の方から、「来年の色は何?」という問い合わせが寄せられる程の人気。この寿シリーズの作務衣が、素敵なお正月の実現に役立っているかと思うと、当会としても無上の歓びです。
寿シリーズに圧倒的な人気の黒が登場!
というわけで、今年の…というより新しい年のお正月作務衣は「墨寿(ぼくじゅ)」と名乗ります。
色にランクはありませんが、こと黒という色はまさに別格の感があります。実際、この色に対する思い入れは皆様も大変に強いようで、寿シリーズに黒を…というご要望は、圧倒的なものがありました。
あまり堅苦しい装いは嫌。かといってくだけすぎるのも、どうかと思う。
こんな方のために開発したお正月用の作務衣<寿シリーズ>が大好評。従来の和装に取って換わらんばかりの勢い。
絹の格調高さに、綿起毛による総裏付の温もり、加えて銀と黒の彩りがいかにもお正月。家族と和むも良し、客人を迎えるもまた楽しい。一着ご用意あれば、いつものお正月が、ぐんと新鮮に…。
正絹総裏付作務衣 銀寿(しょうけんそううらつきさむえ ぎんじゅ)
除夜の鐘を聞きながらワクワクしていた。元旦は少し早く起きて、身を清め袖を通す。ふわっとした暖かさが五体を包む。鏡の前に立ち衿を合わせ、ちょっとポーズ。銀の彩りが晴れがましい。やがて家族の者の声が騒がしくなる。さあ、ご主人様の出番だ。
晴れやかでめでたいお正月にふさわしく素材はもちろん絹、そして彩りは銀です。季節を考えて上下ともに軽くて暖かい綿起毛を裏地として付けています。
さらに、この銀寿専用として本格的な袖付羽織もご用意しましたので、どんなお客様への応接も礼を逸することはありません。
意識した途端に足が早くなる年末。お正月のご用意は早いに越したことはありません。
正絹総裏付作務衣 緑寿(しょうけんそううらつきさむえ りょくじゅ)
お正月にふさわしい絹の作務衣を総裏起毛ウールで仕立てた、正絹作務衣 緑寿。お正月に絹の作務衣が着たいとの声に応えて昨年発表した「総裏付」が大変な評判。今年も色違いを、とのご要望。
そこで格調の高さで人気の緑系作務衣「祇園松」の布地に総裏をつけ、暖かい正月用の正絹作務衣に仕立て上げ、「緑寿」と名付けました。
裏地はすべて“起毛ウール”で、その温もりが五体を包み、心の和みが実感できるお正月の主人公らしい作務衣です。
正絹作務衣 海松(しょうけんさむえ みる)
絹古彩にはじまった当会の正絹作務衣のシリーズは、その後、絹唐桟、絹天竜、絹刺子――と種類も内容も順調にその幅をひ広げてまいりました。そして、ここにご紹介する新作もまた、新しくスタートを切る正絹シリーズの第一弾となるものです。
新シリーズの特色は生地全体に絣っているいわゆる<霜降り>の仕上げにあります。このため、絹もその特徴である光沢やしなやかさだけではなく、さらに深みのある風合いを醸し出すことができています。
深緑に白い絣――その色合いは、浅海の岩の上に生える海草にちなんだ、<海松(みる)>という古色。磯の香りが漂ってきそうな味わい深い彩りです。
この「正絹作務衣 海松」は、お正月をクライマックスとするこれからの季節にもお召しいただきたく、上下とも総裏付で仕立てました。「暖かい上にすべりが良くて着やすい」とこの総裏仕立ては好評です。
正絹作務衣 祇園松(しょうけんさむえ ぎおんまつ)
絹古彩シリーズにさらなる彩りを求めて、今回、皆様にご呈示するのが緑色の新作「祇園松」です。この緑彩のご希望は当初より強くあったのですが、敢えてここまで待たせていただきました。順を踏みたかったからです。
光の具合によって彩りが微妙に変化
緑といっても、できるだけ押さえた色合いに仕上げました。と申しますのも、絹という素材は内部からの反射光が表面に透過して、鮮明度の高い発色が得られるという性質を持っているため、少し押さえ気味にしないと作務衣ならではの“渋さ”が吹っ飛んでしまいます。
名付けて「祇園松」。釈迦が説法した僧侶として知られる祇園精舎を思うも良し、また京都の花街に想いを寄せるのもまた良し…潔さと粋さを合わせ持つ一着です。
絹独特のぬめり(弾力のある柔らかさ)、さらりとした肌ざわりなど、着心地の良さも抜群。それに、普段着としてさり気なく“絹”を着る感覚――この気分が何よりでしょう。
絹唐桟作務衣・羽織 音羽、花川戸(きぬとうざんさむえ・はおり おとわ、はなかわど)
インドより渡来、江戸の中期に大流行した唐桟縞で仕立てた作務衣を二点、新作としてご紹介します。
素材はいずれも絹100%。直線的に流れる縞の美しさが、絹ならではの光沢に溶け込み、優美さと粋をいやが上にも引き立てます。
細い縞の「音羽」は、濃紺と茶に淡い藍を一組にしたタテ糸と、濃紺のヨコ糸を交わらせた微妙な色合い。紺を主にしていながら、鼠色に見せる奥深さが特徴です。落ち着きと品格の粋をイメージしています。
少し大柄に見える縞の方は「花川戸」。茶と生成の白をタテ糸に、金茶のヨコ糸を交わらせた明るい色合い。ちょっといなせに、遊びごころの粋を表現しています。
まさに、静と動。江戸っ子の粋を対称的にとらえてみました。
サラリとした肌触り、着用感も抜群です。お好みに合わせてお選び下さい。
絹に唐桟とくれば、やはり羽織を合わせたい。
さり気なく作務衣の上にはおるだけで、“音羽”なら、さらに格調が増すというもの。
“花川戸”だって渋さが加わり粋を高める。布、色、織りはすべて作務衣と共揃い。
羽織を着ると、なぜか口調まで変わるから不思議。
正絹作務衣 鉄紺(しょうけんさむえ てっこん)
絹の光沢がかもし出す気品に溢れた奥深い色合いは、まさに古彩。
正絹作務衣“絹古彩”シリーズの新作は、写真のように藍の色です。先に“茶”と“鼠”の彩りを開発しましたが、作務衣の基本色である“藍”系の彩りの人気は根強く、要望も殺到したために、今回の新作として開発いたしました。
ご覧のように、少し緑がかり、見る角度や光線の具合で微妙な変化を見せる色。その気品と奥深い色合いから「鉄紺」と名付けました。
絹の光沢と溶け合い、まさに古彩と呼ぶにふさわしい色合いで正絹作務衣の醍醐味が楽しめます。
正絹作務衣 鳩羽鼠(しょうけんさむえ はとばねずみ)
鳩の羽根を偲ばせる渋さと若さを備えた彩り
やっぱり渋さはすてがたい。それでいてこの“つや”は何だろう。
両手を広げて鳩の真似――この彩りは心を豊かにする。
わずかに紫がかった灰色。文字通り“鳩”の羽を偲ばせる色です。鼠色の中でも渋さと艶が微妙に交錯する実に感覚的な彩りと言えましょう。
抑えた感じの着こなしから、見る人をハッとさせる鮮やかさ――まさに正絹作務衣ならではの歓びです。