私たち日本人の身体には菜食がピッタリ
明治維新による文明開化以来、私たち日本人の生活は大きく様変わりしてきた。とくに食生活は、動物性蛋白質を中心とする肉食が増え、これと反比例するように魚や野菜をあまり摂らなくなってきた。
しかし、明治以前の日本人の食生活は菜食が中心で、動物性蛋白質は主に魚介類にたより、肉食はせいぜい鳥肉か卵を用いるかであった。こうした菜食中心の食生活を太古の昔より続けてきたため、私たち日本人の小腸は欧米人に比べてはるかに長い。
調が長いということは、逆に言うと、肉食には元来向いてないということだ。にもかかわらず、野菜をあまり摂らずに肉食ばかりを好んでするため、最近では便秘の人が多い。便秘は身体に非常に悪い。ほおっておくと、毒素が血液に逆流するからだ。
最近、若い女性の間で、肥満を気にして野菜サラダをたくさん食べる人が増えている。しかし、この野菜も、温室で促成栽培したものが多く、ビタミンやミネラルが極端に少なくなっているのが現状だ。
それに比べて、野草は太陽をたっぷり浴びて育っているので、味や口当たりは野菜より多少劣るが、栄養的にはむしろすぐれているものが多い。蛋白質・ビタミン・ミネラル類が多く、しかもセンイ分の豊富な野草で便通をよくし、身体に精気と活力を呼び戻したいものだ。
創作のれん-日本のまつり-(2)
祭りの熱気や掛け声までが部屋に満ち溢れるような暖簾-思わず引き込まれてしまう
京都が誇る染織デザイナー清水章夫氏が描き上げた力作<日本のまつり>シリーズのうちから三点<三社><七夕><竿灯>を御紹介いたします。
原始布織による本麻の硬質な質感の中に、それぞれの祭りの持つ伝統や情緒、そして熱気までもが香り立つように描かれています。粗目の生地に対して精緻を極めたデザインの対比はみごとの一語。もう、これは使うというより、アート・インテリアとして飾りたいほどの絶品。おはやしや掛け声、騒めきなどが部屋に満ちて-夏がやってきます。
素敵なオジサマと言われるための…「40代からのファッション」(2)
自分では分かりにくいファッションセンス。
仕事が終わって、帰り道にちょっと一杯。そして、「家にたどり着けばパジャマに着換えて寝るだけ」という生活が習慣化している人も多いことと思う。
しかし、こんな生活の中でも、ちょっと視点を変えてみると、意外なことが発見できるから面白い。例えば、寝る時にだけ着るパジャマ。これは不思議なことに、結構オシャレなものを着ている人が多い。
ネクタイやジャケットやスーツなど、ふだん会社に着ていくものは、自分のセンスを信じ、必ずといっていいほど自分で選び、冒険せずに地味なものを買ってくるのにだ…。
ところが、パジャマなど普段着感覚のものは、靴下や下着などといっしょに奥さまがデパートやスーパーで買ってきたものを、そのまま身につけているケースが多い。奥さまが買ってきた当初は、パジャマ派手さに文句を言ったりするものだが、自分では、その類のものは照れもあって買いに行けず、結局「家の中だからイイや」ということで、毎日着ている。その派手なパジャマが、結構サマになっているのを気づかないのは、案外本人だけかも知れないのにだ…。
普段着は「ゆったりと動きやすい」のが基本
最近、パジャマの代わりにもなり、外出も出来る普段着が増えてきたが、やはり「動きやすく、ゆったりしたもの」がうけているようだ。例えば、日本調のものであれば、高級感あふれる藍染めの作務衣。また、リゾート調のものであれば、トレーナーやスエットスーツの類などがそれだ。
素敵なオジサマと言われるための…「40代からのファッション」(1)
40代以上の人たちにふさわしいファッション
最近、至るところでファッションの話を耳にするようになった。ところが、どういう訳か、40代以上の人のためのファッション情報は、意外と少ない。そこで編集部では、ファッション評論家・地主金一郎先生のお話をもとに、「40代以上の人たちにふさわしいファッションとは何か?」を考察してみることにした。
以前から、40代以上の人に向けての普段着、つまり、くつろぎファッションというものがあった。例えば、10年前にブームになったゴルフウェアが主流の通称「オジン・ファッション」などもその1つ。これは、大多数の人たちが購入したことがあると思うのだが、結局、ゴルフウェアの派手な色使いから、今ではリゾートユースに限られ、大体の人が即にタンスの隅にしまってあるのではないだろうか?そして、せっかく<くつろぎファッション>を購入しても、多忙なためか、着換えないうちに段々と着なくなってしまったりする。
また、日曜なども、日頃の習慣からワイシャツを着ていたり、ネクタイ姿でいるというように、くつろぎファッションとはほど遠いスタイルで過ごしがちだ。
祝二〇〇〇年 作務衣で迎えるお正月。(2)
年代が記念となる古酒の如く、新年も節目となる逸品に
だからこそ、毎年年頭に発表させていただく“お正月の作務衣”、大好評の<寿シリーズ>の新作をいかにすべきかということで企画会議も白熱。
これまで私どもを叱咤激励、応援してくださった方々に対する御礼の証であり、また、この15年間の創造の結晶とも云える節目の作品だからです。
あたかも、極上の和の醸造酒が年代にこだわる如く、二〇〇〇年と云う忘れ難き年の想い出を、不朽の形として残すための一着・・・そのためにスタッフがもっともこだわったのが彩りでした。
節目の年の“寿シリーズ”彩りは福なる松にて決定!
スタッフの間で飛び交っていた意見が徐々にまとまり始めました。めでたさ、祝い、日本の象徴・・・そうくれば富士・・・そして、松!縁起物としても愛されるその姿、激しい風雪を耐え抜く生命力の強さは、見る人に力を与えてくれる。しかも来る年は、次なる千年への華々しい門出。新しい時代への門松としての意味も込められる。
たちまち全員一致、寿シリーズの新作の彩りは福々しい松の彩りにて決定。その銘も次代への門出の満々たる喜びを込め、堂々と<慶寿>と銘乗ります。
祝二〇〇〇年 作務衣で迎えるお正月。(1)
記念の年には想い出をカタチで残したい-。だからこそ、門出に似合う作務衣を選ぶ。
生々流転、波乱に満ちた年が暮れました。来る年は、千年代の大転換という特別なもの。この稀有な舞台に、当会が創立15周年を迎えたのも、何か大きな縁のようなものを感じ、いつもの年の瀬にもまして、スタッフ一同感慨の面持ちで臨んでいます。
少し大仰かもしれませんが、思えば過ぎ去ったこの千年代という時代は、大和の風雅が、合理性という思考のもと、西洋文化に席巻された時代でもありました。
確かに洋にも利点があるのは否めない。しかし、和の美徳が影を潜め、様式美と心のみそぎの真骨頂であるはずの年賀の席までもが洋風化してしまったのは実に淋しい限り・・・。
『作務衣で迎えるお正月』も今年は一段と特別に・・・
緊張とくつろぎが絶妙な釣り合いで昇華し、新年にかける清々しい想いに思わず背筋が伸びたあのひと時を忘れたくない、残して行きたい・・・。当会のそんな想いが、設立当初から『作務衣で迎えるお正月』と云うライフスタイルを提唱させたのは、皆さまご存じの通り。今では、年末近くになるとたくさんの会員の方々から、“今度のお正月も、和三昧で優雅に過ごします”“正月おろしの新作、愉しみにしているよ”などと云うお便りをどっさりといただきます。
これも私どもが謳い続けてきたそのテーマが、小さな水の滴が岩に滲み渡り巨大な石柱を創り挙げるように、この15年の間に広く深く皆さまの間に浸透している証。実に嬉しい限りです。
次回へ・・・
『透かしの美学』ここに極まる。(2)
八代目と力を合わせ、『透かしの美学』が遂に完成
新作「本藍染すかし絣作務衣」は、まさに夏の作務衣の究極品。その魅力は、実際に触っていただければお分かりいただけると思います。
藍染めが醸し出す深い趣、しばり絣を用いた手作り感覚あふれる自然な織の味わいとシャリ感には惚れ惚れするばかり。
さすがは脂の乗りきった八代目の仕事。参りましたと頭を下げるスタッフの心の視線の向こうには、新作をまとう貴女の姿はもちろん、それを見やる周りの方々の涼しげな表情が、しっかりと浮かんでおりました。
伝統工芸品を証明する「伝統マーク」をご存じ?
天然の素材を使用し、熟練した職人の手ひとつひとつ真心こめて作られる日本古来の産業品。それが「伝統工芸品」です。美術品的な美しさを持ちながら、高い実用性も兼備、長い間使われ続けてきたことで完成度も高まっており、次の条件に当てはまる190品目が通商産業大臣より指定されています。
●熟練した職人により作られ、芸術的要素を持つ。
●日常的に使用できる。
●主な工程を手作業で行なう。
●原材料や技法が100年以上継承され、今も同じように作られる。
●個人やグループ規模ではなく、地域産業として成立している。
そして合格した製品には、「伝統マーク」が与えられるのです。
野蚕の繭(のがいこのまゆ)
いかがですか、この逞しさ。大きさ、そして大地を思わせる色――これが、山野に在って落葉樹の葉を食べながら自生している天然の蚕の繭です。もちろん、この繭から採れる糸は絹。生育の状況から<野蚕絹>と呼ばれています。
絹といえば、屋内にて桑の葉を与えられ飼育した蚕の繭から採る糸(家蚕絹)のこと――というのが通り相場なだけに、この天然の蚕の写真には驚かれたかもしれません。しかし、彼らから言わせれば、「オレたちが絹のルーツなんだ!」ということになるかもしれません。
確かに生産や採算の効率から考えれば、絹のほとんどが家蚕(養蚕)で占められているのも無理はありません。ですが、逆にいえばその希少性や天然ならではの独特の光沢、粗野とも思える感触、大小さまざまな不均一性の特性を活かせば、家蚕糸にない魅力が引き出せるかもしれない――と当会は考えました。
現在、野蚕で絹を作っているのは、世界でも絹の発祥地といわれる中国のみ。すぐに取り寄せた野蚕の繭玉が見せる圧倒的な野性味に驚嘆。当会の発想、着眼は間違いではないとの意を強くしました。
そして完成した野蚕絹の作務衣――さあ、ご覧下さい。
“心の書斎”と呼ばれる作務衣の魅力を問う(2)
素材、意匠ともに装いとしてまさに完璧…
作務衣の素材の基本は綿、染めは藍。つまりすべてが天然、自然の恵みにて創られたもの。作務衣を着ると、どこか懐かしく、ほのぼのとした安らぎを感じるという方が多いのは、そんなところにもあるのかもしれません。
前述したように作務衣は、もともとは僧侶が作務を行う際に着用するために生まれた作業着です。それは、歩く、座る、身体を動かすといった、人間本来の基本の動きに基づいたもの。しかし、私たちが今過ごしている毎日は、そういった身体を動かして働くという基本からは、ほど遠くなってしまっている気がします。
現代において作務衣がブームになっている背景には、煩雑な生活の中で私たちが忘れかけていた“人間らしさ”を、肌を通して思い出させてくれるからなのでしょう。
【写真】
先人が生み出した優れた意匠の冴え。身体の動きを綿密に計算して創られた和装の傑作品。
1、衿に芯を入れ込むことにより衿元の着崩れを防ぐことはもちろん、寒い季節における風の吹き込みをも防ぐ。
2、ゆったりとした身頃から先細りへと続く筒袖は動きやすさを重視したもの。
3、身幅に適度な余裕を持たせ、身体の動きに自在に対応。座る、立つ、基本動作も非常に楽。
4、腹部を締め付けないヒモとゴム仕様にて着こなしも楽なズボンはポケット付で何かと重宝。
5、ズボンの裾はゴム入りで、歩く姿も凛々しく引き締める。足元から入り込む寒風もシャットアウト!