仕事や世間のわずらわしさを丸ごと呑み込んでしまう…
“心の書斎”ともいうべき感覚が人気の秘密!
作務衣を着た人を見てどう感じるか?と質問すると、実にさまざまな答えが返ってくる。
「着ごこちが楽そうだ」と機能性をいう人。「なかなか渋い。趣味が良い」とその伝統性を見る人もいる。さらに、「人間性に奥行きを感じる」とか「意識が高そうに見える」などと、その装いを通して人格的なものまで評価するケースが多い。
作務衣が静かなブームを続けているというが、まさに、これらの答えがそのまま作務衣の人気を物語っているようだ。
一枚の作務衣に託す自己表現と精神的な開放――なかなかの着眼である。
作務衣に受け継がれる先人たちの知恵
作務衣とは、古来より僧侶たちが、作務(心の雑念をなくすための労働一般を言い、大切な修行のひとつとされている)を行う為に着用したものである。
四季を通じて厳しい労働をするという前提で考えられたものだけに、その着やすさや動きやすさ、丈夫さは別格。
はるか遠い昔にこれだけの機能性・合理性を生んだ先人の知恵には、少なからず感服させられる。
→「作務衣のある暮らし 2」に続く…