『風騒ぎ 叢雲迷う 夕にも』
夏の強い陽射しに群がり立つ雲。やがて野分けの風が吹きはじめ爽やかな夕立がやってきます。こんな夏の風物詩を表現したのが、江戸以来の伝統的な“叢雲絞り染”。そしてこの技法を復活させて完成したのが、この「正藍染綿絽ゆかた叢雲」です。
綿素材と絽織りの涼感も格別。独特の染め技法から生まれる色合いと藍模様は、見る人をしてため息をつかせることでしょう。
綿絽で正藍染―高級感に溢れたゆかた。
ゆかたに仕立てるにしても、これだけの技法、安っぽいものにしたくはありません。そこで、作務衣と同様に、生地は綿絽。もちろん正藍染です。
藍地に群がり立つ雲を想わせる染模様の素晴らしさは、私どもが申すのも変ですがかなりのもの。ゆかた人気の復活が言われる昨今、この正藍染綿絽浴衣が大きな注目を集めるのではないかという予感がしています。それだけに残念なのは、すべて手作りのため量産が効かないことです。しかし、お客様のご希望には何としても応えねばならない――と、職人秋元一二さんの尻を叩き続けております。