五十年ぶりに復活『藍の初染めの儀式』
その1・愛染明王と藍染の儀式
この先に「愛染明王(あいぜんみょうおう)」という仏閣がありまして、私たちはいつも「愛染さま、愛染さま」と呼んでいます。
この愛染明王を、江戸時代から明治の末まで、毎年1月26日に参拝する儀式がありました。
この日は、江戸の染めもの屋を始めとして、藍問屋、藍染屋、藍の栽培農家、藍染を織る人たちがみ~んな集まって、「愛染明王」に感謝と祈願を捧げるのです。
この愛染明王におまいりすることを「愛染講」といいまして、参拝が終わると人々は帰りに熊谷で山おろし(今でいう精進落とし)をした訳です。
これが熊谷遊郭の始まりだといわれています。
この愛染講とは別に、毎年正月2日に「藍の初染めの儀式」がありました。
この儀式は、正月に初商いされる藍玉を藍ガメに入れて発行させ、この中に紙を入れて染めたものを神(これも結局愛染明王なのですが)に奉納するものです。
そして去年一年間の感謝をささげると共に、新たな年の藍染めがうまく染まりますようにと祈願する訳です。
しかし、この藍の初染めの儀式も、藍染の衰退と共に、ずっと途絶えていました。