「ジャパン・ブルー」として世界に知られる日本の藍。中でも希少価値で知られる阿波の藍の「すくも」作りを辿ってみると…。
阿波藍の起源は不明ですが、西暦の900年頃にはすでに藍の栽培を裏付ける記録が、ない内記寮に「阿波国の藍を以って最勝とする」とあります。これを見ても、藍が相当古くから人々の間で愛されていたことが分かります。
産業としての起こりは鎌倉時代で、藍が特産物として他国に大量に積み出された記録が残っているそうです。
最も栄えたのは江戸時代で、徳島藩の藍推奨策のもとに阿波の藍は全国を席巻し、藍大尽(あいだいじん)と呼ばれる富豪まで生み出すほどの人気を誇っていました。
その後、明治末期には科学染料の輸入と共に衰退しましたが、今日においては希少価値の高い伝統産業として注目を集めるのと同時に、天然藍に魅せられた人々によって、ファッション用品はもちろん、藍の特徴をモチーフにした様々な商品開発が行われています。
また、藍独特の方向は持続性があり、衣類などの虫除け、消臭作用などの薬用効果があると言われ、その特性が現代人の抗菌感覚にマッチしたのか、最近では若い人たちの間でも藍染のファッションが目立つようになりました。
阿波藍も一時期は絶滅寸前という危機に陥ったこともありましたが、時代との接点もあり、今では阿波藍と言えば高級藍染の代名詞ともなっています。