10年の歩みを象徴。そして、作務衣の先を見つめた一着。
「伝統工芸士などという妙な肩書きが付いたから、少し肩に力が入ったけど、この出来なら栄一さんも納得してくれると思うよ。あとは皆さんがこの作務衣の良さを、会員の方にどう伝えてくれるかだけだね。まかせたよ」
渓水さんから厳しいバトンを受け取ってしまった。
伝統様式をきちんと守って開発した「武州正藍染作務衣」一着を引っさげて、作務衣を世に問うてから10年。素材、彩り、技法などにその幅を広げながらも、当会の理念は変わることはない。
その証ともなる今回の10周年記念作務衣は、「青淵」の名を得てここに完成した。職人たちの冴えわたる技が表現したこの一着を、見識高き会員の皆様に委ねる次第である。