コーデュロイ作務衣開発秘話(1)

“王様の畝(うね)”が秋を侍らせる
お坊さんがコール天の作務衣を着ていたとか。何でも、知り合いの呉服店で、余り布を使って一着だけ作ってもらったとのこと。
「これがなかなか小粋で、目立っていたよ」という話。意外に反対意見がありません。どころか、「厚手だから暖かそうだしね」とか「洒落た感じで仕上がるかもしれない」とか、もう決まったかの如き発言が相次ぎました。
これだけみんなの頭の中にイメージが浮かぶのなら大丈夫――決まる時はこういうもの。秋の新作は、かくして「コーデュロイ作務衣」に決定です。
二重織りでタテに畝を走らせる――暖かさや丈夫さも抜群!
その昔、西欧のある王様が城の兵士にこの布地の服を着せたところ、とても美しく立派に見えた――という話から名付けられたcordeduroi(王様の畝)。
この“コーデュロイ”、わが国には1891年(明治24年)頃に初めて輸入されたと言われています。特徴は、平織りの地の上に、パイル織りを重ねて、毛緯をタテ糸の上に浮かせ、その浮いた毛緯を中央で剪毛(切断)して毛羽立たせ、タテの方向に毛羽の畝を走らせることにあります。
これが王様の畝と呼ばれるコーデュロイならではの畝模様。畝の凹凸感が見ても触っても小粋な感じで、とてもお洒落。さらに、織りを重ねているため厚手に仕上がり、暖かさや丈夫さは抜群。風合い、機能ともに、秋の作務衣に申し分なしといえましょう。

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