西ケ崎から、新しい風。「辻村染織のお茶染め」(3)

藍染めと違って染まりにくいから、鉄分の力を借りて色付けを高める。
まず染料のお茶である。
「いろいろ試してみたけど、粉茶が一番染まりやすいですね。もちろん飲めますよ。これに茎なども入った“けば茶”を混ぜます。これを一着1キロの割合で袋に入れて、煮出します」と啓介さん。
話しながら、手は素早く動いている。お茶1キロと簡単に言うが、これはかなりの量。過程にある100グラム入りの茶筒十本分を想像していただきたい。それだけの量でやっと作務衣一着分なのである。
このお茶を煮えたぎった鉄の釜に入れぐつぐつと煮る。時折かきまぜながら、徹底的に色を煮出してしまうのである。
十分に色が出たら、鎖と滑車を使って使用済みの茶葉を取り出す。水分を含んだ茶葉は重い。この鎖と滑車の仕掛けは、七代目のアイディアだという。力技なら十八番の啓介さんも、これには助かったと感謝。七代目の面目躍如である。

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