作務衣づくりの体験が生み出した機能性!
染ばかりではありません。このジャケットやズボン、シャツには当会ならではの着る身になった機能性が秘められています。それはすべて、作務衣づくりの体験から生まれた知恵。つまり、作務衣のもつ“着やすさ”“動きやすさ”などの長所を流行の先端であるジャケットやズボン、シャツに生かしています。
一味どころか、二味も三味も違う夏の洋装――ほんとに今年の夏はお出かけが多くなるかもしれませんネ。
本麻正藍染ジャケットとズボン(2)
藍に見せない藍染。これが“通”の真骨頂!
いかにも夏らしいジャケットです。このところ、年齢を問わずジャケットが大変なブームです。気軽にはおれてシャツやズボンとの組み合わせも自由で幅広く、そのくせどんな場にも礼を失することがないとあって、とても便利で合理的。さまざまな素材や柄物が出まわっています。そんな中で、当かたろぐの巻頭特集としてご紹介するのですから、このジャケットは並みのものではありません。
集まる視線がここちよい。若い頃のお洒落感覚が甦り優越感にひたりながら陽射しの中を往く――。
このジャケット実は“正藍染”なのです。えっ?と思われるかもしれませんが、藍染めと思わせぬ藍染め仕上げ。その意味で、とても贅沢で奥深い藍染めジャケットだと自負しております。少し緑味がかったジャケットは、これでも三回も藍ガメをくぐらせています。俗にいうところの“白殺し”という染め上がり。藍染め序列でいうと“藍白”です。これが、本麻の生成りと交じり合うと何ともいえぬ染め上がりとなります。
まさに“通好み”の正藍染めというわけです。自分だけが知っているジャケットの秘密。なんだか着用するたびにワクワクしてしまいます。奥さまや息子さんのファッションにひけをとるどころがさすが!と思わせるおしゃれ感覚で胸を張ってお出かけください。
本麻正藍染ジャケットとズボン(1)
これ、藍染ですか!?いや恐れ入りました。感服の声に思わず頬がゆるむ。今年の夏は、外出が多くなりそうだ。
“あれ?いつもと様子が違うような…”と首をかしげておられるあなたの姿が目に浮かぶようです。意表をついたようで誠に申し訳ありません。そうです、いつもなら作務衣の新作がまず目に飛び込んでくるはずなのに…ジャケットですから、とまどわれるのも無理はありません。重ねてお許しを乞いながら、私どものご提案の説明をさせていただきたいと存じます。
身も心も解放される季節だから…
若い頃の思い出をたどる時、最も鮮明に印象深く記憶に残っているのは“夏”の出来事だといわれます。それだけ、この季節は他に比べても身も心も解放され柔軟になるということでしょう。じっとしていられない季節、心の翼を広げてすてきな思い出をつくる季節――それが、この夏だと思います。
ご夫婦で、またご家族での旅行や外出の機会が増えるこの季節に、当会からジャケットを中心としたカジュアルなファッションのご提案です。
正藍染 縮みシャツ
お洒落に夏をくつろぎたい…
なぜか胸がワクワク。なんだか身も心も解放されてしまいそうな――夏。
でも、解放感とだらしなさは別物。こんな季節だからこそ、こざっぱりと涼しげなお洒落でキメてみたいもの。それでもできるだけシンプルに。何気なく見えるシャツ姿でも、趣味の良さや気品が見る人に伝わるようなお洒落をご提案いたします。ショートパンツや帽子などを組み合わせてお楽しみください。ガラリとイメージを変えても、夏は寛容です。
きびらのれん-生平暖簾-
麻の質感、シンプルなデザイン。なぜか-なつかしさを感じます。
麻の原糸をそのまま手紡ぎし、糸さらし(漂白)をしないまま平織りにした麻布を“生平”と言う。生平織では指折りの産地である近江から届けられた「きびらのれん」四点。手紡ぎ、手織り、そして麻の持つ素材さからただようさわやかさは、これからの季節には一服の清涼剤。分けてくぐるときの手ざわりの味もまた忘れがたく…。
生平の素朴さと爽やかさを生かした四作品をご紹介します。禅問答の如き「まる」、曲線が楽しい「ひさご」、素朴さ極まる「みの」、そして風のたなびきが伝わるような「むぎ」。いわゆる“のれん”として使うもよし、またお部屋のインテリアとしての使い方も面白いでしょう。
創作のれん-日本のまつり-(2)
祭りの熱気や掛け声までが部屋に満ち溢れるような暖簾-思わず引き込まれてしまう
京都が誇る染織デザイナー清水章夫氏が描き上げた力作<日本のまつり>シリーズのうちから三点<三社><七夕><竿灯>を御紹介いたします。
原始布織による本麻の硬質な質感の中に、それぞれの祭りの持つ伝統や情緒、そして熱気までもが香り立つように描かれています。粗目の生地に対して精緻を極めたデザインの対比はみごとの一語。もう、これは使うというより、アート・インテリアとして飾りたいほどの絶品。おはやしや掛け声、騒めきなどが部屋に満ちて-夏がやってきます。
創作のれん-日本のまつり-(1)
原始布と呼ばれる古代織技法が、いま鮮やかに甦る-
まだ、木綿や絹がこの世に生まれる遥か昔から先人たちは、山野に自生する草や木の皮から糸を紡ぎ布を織っていた。この“原始布”と呼ばれる技法は、時を越え、細々ながらも何千年来ほとんど変わることなく現代に継承されている。確かに衣料素材としても役割はすでに終えているかもしれないが、手紡ぎ、手織りであるが故の粗目の質感や繊細さは捨てがたいものがある。
そこで、この原始布技法による“創作のれん”の開発がなされた。手紡ぎ手織りによる本麻の質感に加え、京版画の第一人者清水章夫氏の手になる芸術的なデザインが、原始布に新しい生命を灯したといえよう。使うというより、飾るにふさわしい――絶品である。
二部式着物 正藍染飛騨刺子 ぼたん(2)
松坂木綿を正藍染古代裂をアクセントに。
正藍染の濃い藍地に白糸で刺した蝶の群舞。このコントラストの妙と端正なまでの美しさは着る人はもちろん、見るものの心をとらえてはなさないことでしょう。
素材は高級綿として有名な“松阪もめん”。染めは正藍染と本格派。また前作と同様に、蝶の頭部に“古代裂(こだいぎれ)”を使用。目立たず控えめでいながら、随所に高級感を配した奥ゆかしさこそ、飛騨刺子の情話といえましょう。