波筬織作務衣 潮騒(2)

京都西陣の古来の手法を進化させた発展の織り
この表情を醸し出すために用いられた織りは、波筬織(なみおさおり)と命名されたもの。通常の織りとは大きく違い、縦糸が横糸に対して、1本または数本ごとに位置を変えて織るもので、それにより生地の間隔に適度な空きができ、“もどり”と呼ばれる波のような独特の表情を作り出します。
この手法、京都の西陣織りに古くから伝わる手法を発展させたもので、まさに進化する装いをひとつのテーマとして推奨する当会には技術的にも心情的にも実にしっくりとくるもの。
加えて今回は、糸にもひと工夫。生地により豊かな表情を持たせるために横糸は単糸の太い糸を使用。また、強さと光沢を醸し出すために縦糸にはポリエステルの糸を採用しました。
織機から工夫を…このこだわりが新境地を拓く
その生地を織り上げる織機の心臓部とも称されるほどに大切な部分、それが筬(おさ)と呼ばれる、縦糸に横糸を打ち込むための道具です。この筬、約3.3センチの間に厚さ1ミリ足らずの金の羽が70蚊等120枚も細かく櫛のように並んだもので、今回の生地を生み出すために特別に工夫を凝らしたもの。
その創意が生み出した見事な波模様を見つめていると、まるで春の海を眺めているように潮騒が聴こえ、心洗われるような穏やかさを与えてくれます。

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