豊かな自然の賜物と職人の技との結晶。作務衣創りに藍染の技あり。(2)

自然が育んだ神秘の彩、藍の変身物語。
藍染の原料となる蓼藍はタデ科の一年草。降り注ぐ陽光、大地を濡らす慈雨、畑を渡り行く爽やかな風・・・大自然の中で育つ藍は、まさに天然の宝物。
現在のような染の技法は発祥は定かではありませんが、正倉院や法隆寺の御物の中に見事な藍染の布が残っており、3~4世紀に藍草(蓼藍)が渡来した際に、染の技法も一緒に伝わったのではないかと云われています。
染の過程に見せる藍の姿は神秘そのものです。蓼藍の葉を発酵させ固めた藍玉を、カメの中でさらに自然発酵させると茶緑の樹液が生まれます。
この液に綿を紡いで作った“かせ糸”を漬け込み引き上げると、空気に触れた途端、緑色の糸が鮮やかな藍色にドラマチックに変身するのです。その劇的な瞬間は“空気酸化”と呼ばれ、藍染めの魅力をさらに神秘的なものにしています。
藍の濃淡いを決めるのは漬け込み回数で10~15回。その色に応じて、かめのぞき、藍白(あいじろ)、浅葱(あさぎ)、藍、紺(こん)と呼ばれるのです。

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