秋号にて初めてご紹介した「柿渋」が大変な話題となった“京都”の作務衣。さて、この春号にはどんな作品が送られてくるか、私どもも首を長くして待っていました。
蓬(よもぎ)――でした。奇をてらうことなく堂々と季節の彩りでした。素材は綿に麻混。京都の盆地に吹き込む春から初夏にかけての風が感じられる彩りと素材、さすがです。
最初は少し奇異に見えた“はかま”感覚で着る、いわゆる京都式の仕立ても大好評。もちろん、上着を出せば、他と変わらぬ作務衣すがたが得られます。
京都作務衣の特色は、都会派ともいうべき小粋さや新和風と呼ぶにふさわしい機能性の数々。あでやかで新しもの好きだったといわれる平安京――千二百年を迎える現在でも、その伝統は脈々と生きているようです。