盛夏の装いとして本格仕立ての甚兵衛が見直されています。
ちょっと陰が薄くなっていた“じんべえ”が、このところ徐々に見直されてきているようです。それも、スーパーなどで売られている普及品ではなく、本格仕立ての甚兵衛が人気とか。当会としてはこの傾向を“何を今さら…”という感じでとらえています。
「伝統芸術を着る会」では、発足以来、夏の作品としてさまざまな甚兵衛を開発し、ご提供して参りました。それも、盛夏の装いとして親しまれてきた伝統の一着ですから、作務衣と同様に本格仕立てを一貫して続けてきました。そのためでしょうか、当会ではこの季節が来ると甚兵衛のご用命が急増します。
高級品をさり気なく崩して着る――これが粋!
例えば綿絽甚兵衛。夏季に限定すれば作務衣に匹敵する人気を誇っています。綿素材のご本絽、染めは正絹竜巻絞り――と、まさに本格派。
年に一度の歳時的な要素を持つ装いだからこそ、ちゃんとしたものを着たい――という見識の高い会員の皆様がいかに多いかを、この甚兵衛人気が証明しています。
しかし、高級品だからと言って気を遣う必要はありません。素肌にざっくり少し着崩して、さり気なくお召し下さい。それが粋というものです。