作務衣の本質と通じる利休の“侘び”の世界!
千利休――茶の湯を通じて“侘び”の文化を確立した人物。この<利休の色>こそ、作務衣の持つ本質と相通じ、さらに鮮烈で奥深い香りを作務衣に加えるものに他なりません。
文献によると、その色は<利休茶>といい、暗い黄色――つまり茶色が基本となったもの。
その色調は見ようによっては茶色の範囲に属するとは言い切れないほど微妙で奥深いものとなっていました。
自然の巧まざる技を利用した絶妙な色合い!
試し染めを重ねること数知れず。遂に納得のいく染め上がりを得て復元されたのが、「利休茶作務衣」です。
草木染調の特殊な化学染料に着けて、しぼって、空気にさらす(空気酸化)――という工程を丹念に幾度となく繰り返す重ね染め。特に、微妙なツヤを出すための空気酸化は納得のいくまで数を重ねました。
単調な色しか出せない機械染と違い、自然(天候、気温、湿度など)の巧まざる技を利用した染色ですから、染め上がった色の味わいは絶品です。
しかし、これでも利休の“侘び”には及びません。
そこで、“交織”という技法でさらにその奥深さを求めます。染め上がった茶の糸をタテ糸に、そして、蓼藍の葉から染め上げた正藍染の糸をヨコ糸に使い紬風に織り上げます。
茶の糸に藍の糸がひそやかに交わり、その微妙で格調高い色合いが完成。やっと利休さんに顔向けのできる、まさに「利休茶」が復元したのです。