用の利点と和の魅力の画期的な出会い
「和洋を問わず、良い物の利点は積極的に採り入れよう」作務衣の専門館と呼ばれる当会は、その研究意欲で実に多彩な作務衣を送り出してきました。
そして今回、私たちが素材の一つとして白羽の矢を立てたのが、高い機能性でスポーツ競技のユニフォームとしても幅広く採用されているメッシュです。
いいことづくめの作務衣で、これからの季節がより充実
完成した新作は、これからの季節に相応しい爽やかな色と風合いを見事に主張しています。さらりとした着心地で汗に強く、シワになりにくく、丸洗いもOKと、まさにいいことづくめ。
汗と汚れを気にせず、着る方の行動範囲を大きく広げます。
夏こそ粋の見せ場。例えば歌舞伎の場でも…。
暑い夏は誰もが着るものに無頓着になる季節。
ということは逆に言えば、夏こそ本物の粋、本当のお洒落を、作務衣で個性的に主張できるということ。
それもそれなりの場へのお出かけとならば、作務衣姿はなおさら引き立ちます。それは例えば夏の歌舞伎見物…。
歌舞伎は「科白劇」と「舞踏劇」の二つに大別され、前者は公家や武士など貴族たちの道義感を表した「時代物」と、市井の庶民の生活をモチーフとした「世話物」のふたつに分けられます。
(幕末頃の「世話物」は「生世話物」というそうです)
また、歌舞伎場には独特の装置と道具があり、「廻り舞台」「花道」「迫り上がり」など劇場建築の一部を成す機構があり、役者の演技と結合して、見事な演劇を創り出す重要な要素になっています。
それと共に忘れてならないのがは、観客も華になるということ。舞台はもちろん、客席が共に昇華して、歌舞伎と言う場は、さらに深い感動を生み出すのです。
それなりの場には、それにふさわしい作務衣を。それが本当の粋なのです。
サマーウール作務衣 涼峰(さまーうーるさむえ すずみね)
さらさらと水が流れゆく。まなざしに、得も云わぬ涼感を残して。
ふとそよいだ風に、サラサラと作務衣が揺れた。身だけではない、心にまで涼感を漂わせて。
瞬間、水に棲む魚が、閃きを上げて跳ねた。されど、かかる水しぶきも気にならぬ。逆に心地良いほどに感じるのは、まとった作務衣の技のせいか…。
光、水、装いが昇華して、さらり爽やか、夏がゆく。
雨の晴れ間にのぞき始めた陽光の輝きのごとく、着る方々の夏を、心弾む予感に満ちたものにしてくれる。今や夏の定番、サマーウール作務衣。
彩りは、萌えるような真夏の新緑に映える“しもふり浅茶”です。鮎が一年の旅を巡り、故郷の川に泳ぎ昇り来たるように、今年もまた嬉しい再開です。
サマーウール作務衣 涼風(さまーうーるさむえ すずかぜ)
暑さを忘れ、趣の風物詩を楽しむ慶び…先人の知恵と現代の知恵が日本の佳き夏を蘇らせる。
「夏にウールを、サマーウールを着ましょう」という大胆な提案には、当会スタッフの中にも、お客様に一笑にふされるのではないかと心配するものもいました。だが、勇を決して発表したところ、これが見事に大ヒット。
その要因はまず、素材の特性の素晴らしさにあります。
軽くて薄く、通気性に優れ、さらさらと肌に優しい柔らかな感触は、実に心地よく、涼感もたっぷり。スタッフも、絶賛の嵐という結果に、改めてその良さを実感したものです。
その影響を受けてか、2年ほど前から洋装の世界でもクールウールと称して採用しはじめ、いち早く先鞭をつけた当会としては溜飲を下げたものでした。
さまざまな高機能の付加により、夏がさらに楽しく。
しかも、当会のサマーウールは様々な機能も加味しています。
まず防縮性や防シワ性を高める樹脂加工。
小さく折り畳んでも座ってもシワになりません。
さらに、強い撚糸のクレープ糸を使用することによりケバ立ちを抑え、ほこりがつきにくくなっています。
加えて、水をはじく強力な撥水加工までプラス。雨はもちろん、コーヒーや食事中の不始末も心配ありません。
この夏は、サマーウールをまとって、日本の夏を再発見してみてはいかがですか。
サマーウール作務衣 華厳(さまーうーるさむえ けごん)
高温多湿な日本の夏をより涼しく楽しむために。
夜明けに朝顔を愛で、昼は打ち水の心地よさにうなずき、よしずの創る陰で涼をとる。夜は縁日をひやかし、花火に声を上げ、家に戻れば、縁側で蚊遣りをたきつつかたむける杯もまた嬉しい…。
四季折々に風雅が漂う日本において、夏ほど、多彩な和の情緒があふれ、日本人であることの慶びを再認識できる歴史はありません。
しかし、いかんせんこの国は高温多湿。
そのため先人たちは衣服や素材にも様々な工夫を凝らしてきました。綿や麻などの天然素材、紗や絽などの透かしもの…夏の和の装いはここに極まったかと思われました。
しかし、和の文化を追求し、作務衣の専門館と呼ばれ、果てしない挑戦を信条とする当会としてはうなずけない。そこで試行錯誤の開発の末、ウールを新素材とする夏の作務衣を発表したのが、五年前でした。
サマーウール作務衣で日本の夏を再発見!
先人たちの創意工夫に学び、現代の最先端とも言うべき知恵により生まれたサマーウール。その新素材をまとい暑さを忘れることにより、懐かしく情緒あふれる日本の夏の文化がそこはかとなく蘇り、お楽しみいただくことができるのです。
それはまさに温故知新ならぬ知新温故。
夏だからこそ颯爽とした黒をビシッとまといたい。涼しげな男らしさを求める硬派のあなたへ贈ります。
サマーウール作務衣 那智(さまーうーるさむえ なち)
私ども「伝統芸術を着る会」では、年4回発行している「作務衣かたろぐ」の巻頭には新作の作務衣をご紹介することを“決めごと”としています。そのために成した努力や工夫が、わずか10年で作務衣のアイテム数70以上を実現し、専門館としての信頼を勝ち得たのだと自負しています。こんな誇りや実績、決めごとを、「良いものは良い」と軽く一蹴してしまったのが、「サマーウール作務衣」だったのです。
実は一昨年の夏、巻頭特集としてサマーウールを採り上げた時も、サラサラしすぎるのではないか…とか色が淡すぎるのでは…と意見がまとまらず、ならば、ここは会員の皆様に判断して頂こうとグリーン系の「尾瀬」を発表。
ところが、そんな心配をよそに、夏物としては異例の大ヒット。そして昨年の会議では前年に輪をかけた意見が続出。そんな中、ブルー系の「奥入瀬」を発表。結果は、なんと一年目をはるかに上回るご用命を頂き、これにはスタッフ一同驚かされました。
会員の皆様からの声を集約してみますと、どうやら「夏の作務衣」としての魅力がこの一着には多面的に散りばめられていることが人気の秘密となっているようです。
ここまで愛され望まれる作務衣なら異論はなし、ということで今年の夏号の巻頭特集は、三度サマーウール作務衣で参ります。
色は、柔らかさを強調したベージュ。名前は、「尾瀬」「奥入瀬」と続いた冷涼のイメージを受けて、熊野の名滝「那智」を頂きました。
サマーウール作務衣 奥入瀬(さまーうーるさむえ おいらせ)
旅行や帰省のお供に、“心の書斎”が広がった!
「サマーウール作務衣」につけた高機能性は、品質だけにとどまらず、作務衣自体の幅を広げるという嬉しい波及効果も生み出しました。
小さく折りたためる上にシワになりませんので、持ち運びに便利。旅先や帰省先でも“作務衣のある暮らし”が満喫できます。“心の書斎”の空間がグンと広がったということです。
また、洗濯もご自宅ででき、アイロンがけも簡単。
作務衣ならではの形を損なわずに、新しい時代感覚を取り入れた画期的な作務衣の誕生。
これは、古き佳き伝統を守った作務衣を作り続けてきた当会だからこそ、成し得た開発なのです。
サラサラとして柔らかい…サマーウール(2)
素材は「サマーウール」。
ウールのイメージから暑いのでは?とお考えかもしれませんが、このサラサラとした柔らかい感触は得もいわれぬほど。綿や麻とは一味違った新感覚の夏の素材、私どもはぞっこんです。
この素材「サマーウール」にさまざまな加工を施しました。
まず、防縮性や防シワ性を高める樹脂加工。この加工によって、小さく折りたたんでも座ってもシワになりません。
さらに、強撚糸のクレープ糸を使用することにより、ケバ立を抑え、ほこりがつきにくくなっています。
加えて、写真のように水をはじく強力な撥水加工を施しています。雨はもちろん、コーヒーや食事中の不始末も心配なし。シミや汚れも防いでくれるというわけです。
薄くて軽い上に通気性に富むサマーウール素材で織り上げたこの作務衣は、紗や絽ほどではありませんが、程よい透明感を持ち、サラサラとしたソフトな肌ざわりと相まって、いかにも涼しげ。しかも、前述のような加工によって、まさに“夏の作務衣”として最適。
現在、繊維業界が競い合って開発を続けている“高機能”商品として見ても、この作務衣の品質は高いレベルにあると、当会は自負しています。
サラサラとして柔らかい…サマーウール(1)
肌触りのよさに加えて、シワにならない、ほこりがつかない、水をはじくという加工を施した高機能。
あのごわごわ感がいい。自然についたシワがたまらない味だ。少々汚れても気にしない、その方がらしいや…。
こんな声が圧倒的。つまり、作務衣の良さはあくまでも素朴で野趣にあふれたものでした。
もちろん、このイメージはこれから先も変わることはないでしょう。
しかし一方では、作務衣の普及につれ、新しい作務衣へのイメージや期待が芽生えていました。
これは必然。作務衣が広く暮らしの中に定着し、さらなる多様性を求められている証拠。むしろ喜ばしい現象というべきでしょう。
作務衣“新時代”に対応した画期的な一着を!
ごわごわもいいけど柔らかな肌触りもたのしみたい。
明るい色を着たいけど汚れが目立っては…。
自然なシワならともかく、座った後にできるいわゆる“生活ジワ”が、なんとかならないものか…。
というようなご意見やご要望が実際に数多く寄せられると、なるほど作務衣も“新時代”に入ったかな――と実感せざるを得ません。
そこで「伝統芸術を着る会」は、さまざまなご要望を集約した形で、新しい作務衣をご呈示させていただきます。
伝統の形にさまざまな加工技法を施した高機能性から生まれる新感覚の作務衣をご覧下さい。
ジュンロン作務衣
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話題の「テンセル」と兄弟分の「ジュンロン」
昨今の洋装業界でスポットを浴びた素材に「テンセル」という繊維があります。
スーツやポロシャツ、セーターなどに盛んに採用されたのでご存知の方も多いかと思われますが、この「テンセル」もレーヨン。つまり、「ジュンロン」とは兄弟のようなもの。
光は無色透明ですが、それが当たるものによって千変万化します。
写真に、それぞれ微妙な色の違いのあることにお気づきかもしれません。それこそ、作務衣が生きている証。
特に絹に似た光沢を持ち、“光線”という語源を持つレーヨン繊維ですから、戸外、室内、撮影のためのライティングによって色合いが変わります。
逆に言えば、実際に着用した場合もそのように見えているということなのです。このことは他の作務衣、特に絹素材のものにも共通して言えることです。
自然の恵みから生まれた植物繊維
素材:植物繊維レーヨン・ジュンロン100%
染め:ジュンロンの高い染色性(染色堅牢度5級)を活かし、強弱をつけながら長い時間をかけ、ゆっくりと押し込むように染め上げてゆく。
柄:上記の染色工程により、日本古来の手染めのようなムラ染が可能となり、手もみ風のシボが生まれる。
特色:絹状の手触りと光沢・水にぬれても強度は変わらず、縮みが少ない(縮率3%以内)・引張強度、引烈強度などの物性に優れていて、頑丈。