不均一な糸づくりから、織りまで、昔ながらに…
どんな着物だったのだろう?研究心と好奇心が半分ずつ。
あれこれ調べてみた結果、答えをくれたのは、絹織物の産地として有名な桐生(きりゅう)からでした。
紗のような透明感とシャリ感、それに相当な着道楽だったことを考えると、多分それは「紗紬(しゃつむぎ)」であろうとのこと。
この紗紬は、紗という名がついていますが、紗の組織ではなく、極細の駒糸(各々の撚り加減が違う強撚糸)で平織りした織物。
紬(繭を手つむぎした太さが不均一な生糸)が生み出す独特のシャリ感と透明感を持ち、昔から盛夏向きの織物として愛用されていました。
当時でも高級品、現在ではちょっと手が出ないほどの値がつくといいます。
しかし、時の運というのはあるものです。
と申しますのは、ちょうど桐生でもこの紗紬の良さをもっと多くの人にしってもらいたい――と考えていた矢先だと言います。
話はトントン拍子に進み、即、夏の作務衣への導入が決定となりました。